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雄策の身辺雑記

雄策の身辺雑記

寝台列車 考

先日、『カシオペア』『北斗星』を乗り比べる機会がありました。また、ここのところお遍路で何度か『サンライズ瀬戸』を利用しています。
そこで夜行列車について思うところがあったのでつらつら書き連ねてみたいと思います。
話があちこちに飛ぶのはいつものこととて勘弁してもらいましょう(^^;)。
まどろっこしいのでいつもの「です・ます」調から「だ・である」調に改めさせていただきます。



先ずは『カシオペア』『北斗星』との比較から。
『カシオペア』はJRが新造したオールA個室寝台の超豪華列車。その中でも上級クラスのひとつである【カシオペア・デラックス】(平屋)に乗車。
『北斗星』は国鉄車両の改造車の個室中心のラインナップながら使用した企画券の関係からB個室寝台でもっともポピュラーな【ソロ】に乗車。
グレードの違いは致し方ない。

一口で言えば『カシオペア』は新建材を使った住宅。『北斗星』は伝統工法を使用した重厚な造りとでも言おうか。
『北斗星』に使用している24系客車は半世紀前の昭和30年代に製造された20系客車が基本設計となっているため、乗り心地自体は『カシオペア』に軍配が上がる。
『カシオペア』は運転士や機関車の交代があっても発車・停車時にほとんど衝動が無かったが、『北斗星』は衝動が大きかったことは否めない。ただし、今回乗車した限りでは眠りを妨げるほどの衝動は無かったことを報告しておく。

両列車で最も違いの大きかったものは共用スペースである食堂車であろうか。
『カシオペア』はカジュアル調、『北斗星』はフォーマル調であった。改造でここまで作り変えたJR(といっても元国鉄職員)の熱意と苦労の程が察せられる。
また『カシオペア』はせっかく2階建て構造としながらも(青森-函館間を除く)山側の数卓が窓が無いのでここはぜひとも改良してほしいものである。
カシオペア ダイニングカー 奥の数卓が窓なし北斗星 食堂車 GRAND CHARIOT



次に夜行列車の現状打破について考えてみたい。

現況では夜行列車はかなり厳しい状態に立たされているといえよう。それは同じ長距離列車とはいえ新幹線と違い、数社の会社を運行する在来線列車は各社の思惑を揃えるのが難しいという面があるからであろうと考える。(今月廃止される『富士・はやぶさ』のごときは4社にまたがっての運行である)
そのため東日本と北海道の2社間の調整で済む北海道特急は『カシオペア』のような新特急も設定が可能となったのだと思う。
また各社が各列車ごとに車両のグレードアップや新造をしてきたために部屋(寝台)のグレードと料金体系が複雑になりすぎているのも利用客のみならず現場からも嫌われているのではなかろうか。

そこで、私なりの夜行列車復興案を書き連ねてみたい。
先述したとおり、14系・24系客車は半世紀も前の基本設計を受け継いでいるし、やはり古い設計の583系電車は、ここでは扱わず、最近の新造車である『サンライズEXP.285系』『カシオペア E26系』と、『北斗星』以後改造された個室寝台車を中心に話を進めていこう。


まず、寝台のグレードと料金を見直すことを前提に、列車の性格分けをしたほうが良いだろう。
具体的には旅客のターゲットを「ビジネス」タイプと「観光」タイプに分ける。走行距離の関係などでどちらも需要があるような場合は編成内で折衷していけばよいと思う。このあたりは車両ごとにグレードを細かく分けられる『鉄道』車両の強みを発揮できるのではないか。

「ビジネス」タイプは旅客会社での運行を考え、日に数往復のみの列車のために機関車運転士を養成するという非効率を避けるため、電車使用を原則とし、『サンライズ…』を基本に設計・運用を行えばよいだろう。
ただし【ノビノビ座席】のようなカーペット車は横になれるというアドバンテージはあるものの、横になった無防備な姿を晒したくないという人もいると思うし、ひところより熱は冷めたような感はあるが高速バスの隆盛をみても、“寝ること”を前提とした座席車の設置はあってもよいと思う。
また現在『あけぼの』で実施している【ゴロンとシート】(従来の2段式B寝台にリネン類の提供を無くし、普通座席車扱いとしている)はカーテンで仕切ることが出来るので多少の増料金を取って連結するのも一興である。ただし新造車なので各寝台(座席?)に窓を設けることは旅客サービス上必要であろう。

『サンライズ…』は首都圏対島根の利用を前提としているためか、個室寝台数の割合が多すぎる気がする。7両編成のうち1~2両を座席車とすれば、夜行列車を設定するのに最も適した距離と旅客数のある、首都圏対近畿圏を結ぶ『銀河』の復活も可能であろう。ただし電車では速すぎるのでダイヤの調整は必要になってくるかもしれない。
また、このような列車は列車単体としてみるのではなく新幹線(の走行できない時間帯を)を補完するシステムとして運用すべきであろう。エクスプレス予約やモバイルSUICAなどで乗車できるようにするのもひとつの手段であろうと思う。


「観光」タイプも電車を基本としながらも、機関車交換で非電化区間を走行できるので列車によっては客車を使用し、豪華さを前面に押し出すのが良かろう。不足する機関車運転士はJR貨物に委託する方法も考えられる。(ただし、このような列車は各社のフラッグシップとなるであろうから、例え旅客の目に触れない運転士といえども他社委託というのはどうもという気もする)
運用する車両は『カシオペア E26系』を基本として設計したい。
上級個室については現在の【カシオペアスイート 展望室タイプ・メゾネットタイプ】【カシオペアデラックス】(平屋)程度の部屋で充分であろう。
ただし、『カシオペア』はオールA寝台2人個室(一部エクストラベットで3人使用可能)で旅客の選択肢が少なすぎるので、『サンライズ…』に連結している【サンライズ・ツイン】、(サンライズタイプの)【シングルデラックス】合造車などもつなぎたい。
一人用個室の上級タイプ【ロイヤル】はつくりが中途半端で採算性も悪いのでサンライズタイプの【シングルDX】で充分と考える。A個室については2階建てとする際にはホームから見下ろされる感覚を排除するため、2階にのみ設置し1階室にはB個室・B寝台・座席車を当てるか、【カシオペアスイート】のようにメゾネットタイプにするべきである。
また基本客室となっている【カシオペアツイン】については(実は空き室を覗いてみた)A寝台としての居住性としては疑問があるのでシャワーとトイレを省略してB個室寝台としたほうが良いであろう。もちろん『サンライズ…』【シングル】タイプや『北斗星』タイプの【ソロ】の1人用B個室の設置も必須である。ただし先述したように多分にフラッグシップトレインとなりうるので特に長距離運転となり観光客需要しか見込めないような列車のB寝台は必要最小限にとどめた方がよい。

また、豪華寝台は料金もそれなりになるであろうからマンサービスも充実したい。
現在の車掌が検札する方式では車掌がやってくるまで部屋を空けることが出来ないので落ち着かないし、個室の検札自体時間がかかるので、「チェックイン・サービス」とでも名づけられるような検札システムをとりたい。
このような列車では始発駅での乗車がほとんどであろうから、始発駅ホーム(専用ラウンジなどがほしいところだが)などにチェックインカウンターを設け、そこで検札を済ませてしまう。入室状況などは携帯端末を利用し車掌と駅でリアルタイムに情報を共有すればよい。また途中駅からの乗客は現在のように車掌による検札を取るか、自動券売機や清算機を使用してチェックインできるようにする。そうすれば少数の乗客のために人員を増やす不合理も解消できるであろう。ただし始発駅と途中駅でこのような差を設けるには旅客の理解を得られないかもしれない。

携帯端末や券売機でのチェックインサービスを行えば、豪華列車には不可欠な客室乗務員のウェルカムサービスなども迅速確実に行える。

ただしこのようなサービスはA寝台の中でも上級クラスだけに限った方がよいだろう。



供食施設に関しては「ビジネス」「観光」両タイプともグレードに差があっても設けてほしい。ただし首都圏対近畿圏のような比較的近距離を走行する列車については駅内のコンビニ店舗などで用が足りるであろう。
「ビジネス」タイプにはレトルトや冷凍食品を駆使し、【ビュフェ】にして食材の無駄を防ぎつつ旅客の満足度を高めればよい。
「観光」タイプはフラッグシップトレインは現在のような予約制ディナーでも良いがもう少し利用客がチョイスできるようなメニュー設定を考えてほしい。予約制なら食材の無駄も出ないであろう。
また折衷型の列車に関しては【予約制ダイニングカー】【ビュフェ】の両方を設けてほしい。



シャワーに関しては日本の列車についていえば運転時間から考えて不要であろう。
ただし「ビジネス」タイプについては夏場の利用などを考え『サンライズ…』程度の寝台数に対する数のシャワー設備はあってもよいと思う。もちろんA寝台利用者に対しては共用でよいから無料サービスとすべきである



以上取り留めの無いことをつらつらと書き留めてみました。
新幹線システムの補完っていうのは結構イイ線いってると自画自賛してるのですが、JRも航空機とバスに負けっぱなしという状況を何とか打破してもらいたいものです。


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